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現物資産のトークン化とは?仕組み・メリット・リスクから日本市場の最新動向まで徹底解説

執筆者の写真: できるくん ホームページ
できるくん ホームページ
9月17日
読了時間: 11分

「現物資産のトークン化」という言葉を耳にする機会が増えてきました。不動産や金といった実物の資産をブロックチェーン上のデジタルトークンに変換するこの技術は、投資の世界に大きな変革をもたらしつつあります。国内のセキュリティトークン市場は2025年度に累積発行額3,300億円を突破し、個人投資家にとっても無視できないトレンドになりました。


そこで本記事では現物資産のトークン化について、仕組みやメリットからリスクまでを初心者にもわかりやすく解説。あわせて日本市場の最新動向にも触れますので、ぜひ最後までお読みください。


現物資産のトークン化とは何か?ゼロからわかりやすく解説

まずは「現物資産」と「トークン化」それぞれの意味を正確に理解するところから始めましょう。この2つの概念を押さえれば、なぜ今この組み合わせが注目されているのかが見えてくるはずです。


そもそも「現物資産」とは?金融資産との違い

現物資産とは、物理的に実在する資産のことを指します。代表的なものとしては不動産や金(ゴールド)、美術品、ウイスキー、ワインといった希少な嗜好品が挙げられるでしょう。一方で株式や債券などの金融資産は、紙やデータ上の権利として存在するものです。現物資産は実体があるため、比較的インフレに強く資産保全の手段として古くから活用されてきました。しかし「高額で手が出しにくい」「売買に時間がかかる」「保管コストがかかる」といった課題も抱えています。こうした従来の弱点を解消する手段として登場したのが、トークン化という技術なのです。


「トークン化」の意味

トークン化とは、資産の所有権や価値をブロックチェーン上のデジタルトークンとして表現するプロセスを意味します。簡単にいえば、現物資産の「権利証」をデジタルで発行する仕組みだと考えてください。この技術を支える基盤として、ブロックチェーンとスマートコントラクトの2つが挙げられます。


ブロックチェーンとスマートコントラクトの役割

ブロックチェーンとは、複数のコンピュータに分散して取引データを記録する仕組みのことです。一度記録されたデータは改ざんが極めて困難であり、取引の透明性と信頼性を高い水準で担保できる点に特徴があります。


またスマートコントラクトとは、あらかじめ定められた条件が満たされると自動的に契約を実行するプログラムのことです。たとえば「代金の支払いが確認されたらトークンを自動で移転する」といった処理を人手を介さず実行できます。この2つの技術が組み合わさることで、場合によっては仲介者なしに安全かつ効率的な資産取引が実現するわけです。


FT(代替性トークン)とNFT(非代替性トークン)の使い分け

トークン化された資産は、大きく2種類に分類されます。1つ目はFT(ファンジブルトークン)と呼ばれる代替性トークンで、同じ価値を持つトークン同士を互いに交換できるのが特徴です。米ドルに連動したステーブルコインのUSDTがその代表例でしょう。


2つ目はNFT(ノンファンジブルトークン)で、ブロックチェーン上で各トークンを個別に識別できる非代替性トークンです。不動産や美術品はNFTで表現される場合もありますが、投資商品として小口化する場合には、同一条件の持分を多数発行する代替可能なセキュリティトークンが使われるケースも一般的です。日本の公募不動産STでは、信託受益権などを小口化した仕組みが市場の中心となっています。


RWA(リアルワールドアセット)との関係

RWA(Real World Asset)とは「現実世界の資産」を意味する用語で、現物資産のトークン化と深く結びついた概念です。ブラックロックやJPモルガンといった世界最大級の金融機関がRWAのトークン化に本格参入したことで、業界全体の信頼性が大きく高まりました。


RippleとBoston Consulting Groupの共同レポートは、トークン化資産市場が2033年に18.9兆ドルへ拡大するとの中間シナリオを示しています。一方、McKinseyは2030年のトークン化市場を約2兆ドル、強気シナリオでは約4兆ドルと試算。技術の成熟と規制整備の進展に加え、機関投資家の参入が重なったことで、今まさに実験段階から実用フェーズへの移行が加速しています。


現物資産をトークン化する5つのメリット

では、現物資産をトークン化すると具体的にどのような恩恵があるのでしょうか。投資家の視点から特に重要な5つのメリットを順に確認していきましょう。


少額から投資できる小口化・分割所有の実現

従来、不動産や美術品のような高額資産への投資には多額の資金が必要でした。しかし資産をトークン化すれば、1つの資産を細かく分割して複数人で保有することが可能になります。たとえば数億円の商業ビルであっても、トークン化によって1口数万円から投資に参加できる仕組みが実現するのです。この小口化は投資のハードルを劇的に下げ、より多くの個人投資家に門戸を開く効果を持っています。リスク分散の観点からも、複数の資産へ少額ずつ投資できる点は大きな魅力でしょう。


流動性が向上する

現物資産は一般的に流動性が低く、売却に時間がかかるのが弱点でした。ブロックチェーンプラットフォーム上のトークンであれば、時間帯や国境の制約を受けずに取引が可能です。証券取引所の営業時間に縛られることなく、世界中の投資家といつでも売買ができるようになります。この流動性の向上こそ、トークン化がもたらす最も大きな変革の1つだといえるでしょう。


取引コストが削減される

不動産や美術品の取引には仲介業者や弁護士、鑑定士など多くの関係者が関与します。そのぶん手数料やコストが膨らみがちです。スマートコントラクトが契約の実行を自動化することで、これらの中間コストを大幅に圧縮できる可能性があります。結果として、投資家が受け取るリターンの最大化にもつながるのです。


透明性・改ざん耐性が高い

ブロックチェーン上に記録されたトークンの取引履歴は、誰でも確認でき改ざんが極めて困難だという特長を備えています。資産の所有者が過去にどのような経緯で移転してきたかを追跡できるため、不正取引や二重譲渡のリスク低減につながるでしょう。特に美術品やコレクターズアイテムにおいては、真正性の証明という点で大きな価値を発揮します。


これまでアクセスできなかった資産に投資できる

海外の商業不動産やプライベートエクイティ、カーボンクレジットといった資産は、従来は一部の機関投資家や富裕層しかアクセスできませんでした。トークン化によって小口化とグローバルな流通が実現すれば、地理的・経済的な制約を超えて多様な資産クラスに分散投資が可能になります。スマートフォン1つで世界中の資産にアクセスできる時代が近づいているのです。


知っておくべきリスクと課題

メリットが大きい一方で、現物資産のトークン化にはまだ解決すべきリスクと課題も存在します。投資判断を誤らないために、以下の5つのポイントを必ず理解しておきましょう。


法規制・コンプライアンスの不確実性

トークン化された資産が既存の証券法でどのように位置づけられるかは、国や地域によって大きく異なります。規制の枠組みが統一されていない現状では、国際的な取引にあたって法的リスクが生じる可能性も否定できません。


日本における金融商品取引法・セキュリティトークン規制の現状

日本のセキュリティトークンには金融商品取引法などが適用され、商品の法的性質や公募・私募の別に応じて、開示、業登録、本人確認、AML/CFTなどの規制が課されます。投資家保護の体制は比較的整備が進んでいるといえるでしょう。ただし、RWAトークン全般に対する包括的な法整備はまだ発展途上にあります。


第三者対抗要件の問題

トークンを保有しているからといって、その現物資産の所有権を法的に主張できるとは限りません。動産の場合は「引渡し」、不動産の場合は「登記」がそれぞれ第三者対抗要件となるためです。発行体が倒産した場合にトークン保有者の権利がどこまで保護されるかも、慎重に確認すべきポイントになります。


スマートコントラクトの脆弱性・技術的リスク

スマートコントラクトはプログラムコードで動作するため、バグや設計上の欠陥が存在すれば不正操作やハッキングの対象になりかねません。過去にはDeFi領域でスマートコントラクトの脆弱性を突かれた被害事例も報告されています。利用するプラットフォームの技術的信頼性を事前に十分確認することが不可欠です。


流動性リスク

トークン化により流動性は向上しうるものの、現時点では二次流通市場の規模がまだ十分とはいえません。買い手が見つからなければ希望のタイミングで売却できないリスクが残ります。市場の成熟には取引参加者の増加と流通基盤の整備がさらに必要でしょう。


カウンターパーティリスク

トークンの裏付けとなる現物資産を管理しているのは発行体です。その発行体の経営状態や信用力に問題が生じた場合、資産が適切に保全されない可能性があります。投資にあたってはトークンそのものだけでなく、発行体の信頼性と資産管理体制まで確認するようにしてください。具体的には財務状況の開示や監査体制の有無、資産の保管方法などをチェックすることが重要です。


日本市場の最新動向


ここからは日本国内に目を向け、現物資産のトークン化がどこまで進んでいるのかを最新データとともに見ていきましょう。


国内ST市場の発行額推移

BOOSTRYの調査によると、2025年度の公募セキュリティトークンは単年度で約1,650億円が発行されました。累積発行額は約3,333億円に達し、前年度比でおよそ2倍の規模に拡大しました。アセット別では不動産を裏付けとしたSTが全体の約85%を占めており、次いで社債やプライベートエクイティを裏付けとしたSTも発行されています。


大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)と二次流通市場「START」の現在地

セキュリティトークンの二次流通を担う市場として注目を集めているのが、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)運営の「START」でしょう。2026年3月末時点で時価総額は約336億円に達し、8つのトークンが売買されています。これまで不動産STが先行して取り扱われてきましたが、社債STの上場も始まっており市場の多様化が進んでいる状況です。個人投資家にとっても、セキュリティトークンを売買できる正規のマーケットが国内に存在する意義は大きいといえます。二次流通市場の拡大は投資家の流動性確保に直結するため、今後の動向から目が離せません。


大手金融機関の参入状況と今後の展望

国内では野村證券やSBI証券、三菱UFJ信託銀行といった大手金融機関が、セキュリティトークンの発行や流通基盤の構築へ積極的に参入しています。海外ではブラックロックが米国債ファンド「BUIDL」をイーサリアム上で運用し、運用資産額が10億ドルを超えたことで話題になりました。日本においても、案件の大型化と参入プレイヤーの広がりが同時に進んでおり、2026年度以降はさらなる市場拡大が見込まれるでしょう。


個人投資家が現物資産のトークン化を活用するためのステップ


現物資産のトークン化は今後さらに身近な投資手段になっていく可能性を秘めています。では個人投資家はどのように第一歩を踏み出せばよいのでしょうか。ここでは4つのステップに分けて実践的な手順を紹介します。


基礎知識を身につけ、信頼できる情報源を持つ

まずはブロックチェーンやトークン化の基本的な仕組みを理解することが出発点です。金融庁や日本銀行が公開している報告書、大手証券会社のリサーチレポートなど、信頼性の高い情報源を活用しましょう。SNSやブログの情報だけに頼ると、誇大な宣伝や不正確なデータに振り回されるリスクがあります。正確な知識の土台があってこそ、冷静な投資判断が可能になるのです。


国内の登録済み取引所・プラットフォームを選ぶ

国内のセキュリティトークンへ投資する場合は、その商品を取り扱う登録証券会社などを利用しましょう。セキュリティトークンは原則として金融商品であり、一般的な暗号資産交換業者で売買する商品とは法的な位置づけが異なります。KYC・AML体制が整った正規の事業者を選ぶことで、投資家保護の枠組みの中で安全に取引が行えます。海外の無登録プラットフォームは規制が不明確な場合も多いため、慎重な判断が求められるでしょう。


少額から始めてリスクを分散する

トークン化のメリットの1つは少額から投資に参加できる点にあります。初めての投資では大きな金額を一度に投じるのではなく、複数の資産クラスに少額ずつ分散させる戦略が有効です。不動産STと債券ST、コモディティ関連のトークンなどを組み合わせることで、特定の資産の価格変動によるリスクを軽減できます。余裕資金の範囲内で運用し、値動きに慣れていくことが長期的な成功の鍵となるでしょう。


専門家に相談してポートフォリオ全体で考える

現物資産のトークン化はまだ発展途上の分野であり、法規制や税務処理に関する専門知識が必要な場面も少なくありません。自身のポートフォリオ全体の中でトークン化資産をどう位置づけるかは、投資の専門家に相談しながら検討するのが賢明でしょう。


現物資産のトークン化は投資の常識を変えるか

現物資産のトークン化は、高額で流動性の低かった実物資産を小口化し、世界中の投資家がアクセスできる形へと変革する画期的な仕組みです。国内セキュリティトークン市場は累積3,300億円を超える規模にまで成長しており、大手金融機関の参入も加速しています。一方で法規制や技術面のリスクも存在するため、正しい知識と慎重な判断が欠かせません。


RWA市場が拡大を続ける今だからこそ、早い段階で理解を深めておくことに大きな意義があります。新たな投資機会を最大限に活かすためには、信頼できる専門家のサポートを受けることが重要です。


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